
『家庭科のドラゴン』が、こだわりの詰まったアパレルアイテムとして登場した、ZOZOTOWNとの特別なコラボレーション。惜しまれながらも販売終了となった今だからこそ語れる「ものづくりの舞台裏」をインタビュー形式でお届けします。アパレルメーカーの企画者と製造メーカーの担当者を迎え、キャラクターの魅力をファッションに落とし込むための知られざる苦労やこだわりを徹底解剖。あの時手にしてくださった方や今回は見送られた方もここでしか読めない特別な制作秘話をお届けします。
株式会社ZOZOの八木橋さん
広告代理店での経験を経て、2023年にZOZOに入社。IPとのコラボレーションを中心に、さまざまな企画を担当する。
モリリン株式会社の宮川さん
新卒でモリリンに入社。現在は、新規事業室ライツ事業の中心メンバーとして様々なIPを活用したプロモーション戦略を実施。
株式会社サンワードの川中
サンワードの営業・企画担当者。「家庭科のドラゴン」や「リトルボブドッグ」を含む70種類以上のキャラクター版権を取り扱い、他社とのコラボレーション企画やライセンス契約の提案・交渉を担当。
なぜ「家庭科のドラゴン」×ZOZOTOWNだったのか

川中:家庭科のドラゴンとコラボをしようと思ったきっかけやそれを実現するまでにはどのような道のりがあったのでしょうか。
八木橋さん:「家庭科のドラゴン」は自分も小学生の時に使っていた世代だったので、Xで話題になる投稿を見るたびに、ZOZOTOWNでも何か面白い企画ができないかなと考えていました。企画を考え始めたタイミングくらいで、モリリンさんにお声がけいただいて、本格的にこの企画が始まったような流れですね。
宮川さん:僕もXでさまざまな投稿を拝見していて、八木橋さんと会議をしていた際に、「家庭科のドラゴン、面白そうじゃないですか?」という軽い雑談から始まりました。八木橋さんもすでに興味があったということをきっかけに動き出したのが、この企画のスタートです。
川中:そうして弊社にお声がけいただいたんですね。企画を進めるにあたり、期待や手応えはありましたか。
八木橋さん:そうですね。後々登場するアイテムにもつながるのですが、今回はスカジャンを作ることが企画の軸になっていました。そのため、社内からも「コンセプトに合っていて良いのではないか」という反応がありました。当時、まだサンワードさんも本格的ななアパレルを展開されていなかったと思うので、ZOZOTOWNで展開できれば大きな反響をいただけるんじゃないかという手応えはありました。
川中:家庭科のドラゴンに対してはどのような印象をお持ちだったでしょうか。
八木橋さん:ネットで話題というか、Xでいい意味で愛されているキャラクターで、特に男の子が昔から知っているキャラクターだったので、ノスタルジックなイメージをすごく感じていました。それをアパレルに落とし込めば話題になるなと、進めながら感じていましたね。
徹底的な「文脈」とこだわりが生んだプロダクトの全貌

川中:キャラクターの世界観を崩さずに、普段使いできるアパレルとして成立させるために、最も意識したポイントはどこでしょうか。
八木橋さん:キャラクターのノスタルジックなイメージを残しつつ、大人も楽しめるストリートスタイルで成立させることを軸にしていました。単純なキャラクターグッズとして販売するだけでは価値が生まれないので、なぜこのアイテムなのかという文脈を大切にしていました。スカジャンがまさしくそうで、「家庭科といえば裁縫、裁縫といえば刺繍、刺繍といえばスカジャンだよね」と考えてプロダクトのイメージが浮かびました。
川中:それぞれのアイテムについてもお聞きします。まず、今回のコラボを象徴するアイテムとなったスカジャンには、どのようなこだわりが込められているのでしょうか。
八木橋さん:スカジャンは国内生産にこだわり、職人の高い技術で細部まで丁寧に仕上げていただきました。100着限定の抽選販売でしたが、想定を上回るご応募をいただき反響がすごかったので、こだわった国内生産がファンの方に喜ばれた印象ですね。
宮川さん:職人の技術に関して、本当はプロモーションで現場の撮影をして、職人さんが手で刺繍をセッティングしている姿などを撮影できたらもっと良かったのですが。そういった思いも商品に乗せられたと思います。カラーリングに関しては、家庭科のドラゴンの背景にあるモヤやオーラからのインスピレーションで、あえてブルーグリーンっぽい色合いをチョイスし、世界観に落とし込みました。本来は真っ黒の方が着やすいのですが、こういった形で色を表現しました。
川中:社内でもめちゃくちゃ好評でした。刺繍が細かく、我々が作ろうと思っても絶対無理な再現性なので、満足感が非常に高かったです。
宮川さん:刺繍は色数も多く、自分たちが納得できる色が出るまで3、4回やり直して今の最終的な商品になっています。
川中:Tシャツには、ドラゴンの縁を銀色で表現した印象的な加工が施されています。この表現は、どのように生まれたのでしょうか。
宮川さん:それは、プリントの縁を銀にしようと僕らから提案させてもらいました。通常のグッズであればインクジェットやシルクなどでベタ版にするところですが、かっこいいものを作ろうと考えていた中で、工場から二次加工の提案があり、「箔プリントとインクジェットや転写を共存できますよ」ということだったので、ZOZOさんに提案させていただきました。
川中:見たことのない加工技術で、ドラゴンがすごくかっこよくなったので良かったです。ほかはどうでしょうか。
八木橋さん:あとTシャツは若干のダメージ加工を施して、いい意味でノスタルジックな感じを表現しました。ラインナップも、ロンTやニット、ナップサック、バンダナなど、当時のものを意識してMDに組み込みました。
川中:Tシャツのダメージ加工には他にもこだわりがあると聞きました。
八木橋さん:ダメージ加工は、ドラゴンが噛み付いたり引っ掻いたりして破れたような激しいものを考えていましたが、実際に着ることを考えてほどほどにしました。
川中:ナップサックも高級感があって、さすがの仕上がりだと思っておりました。
宮川さん:ナップサックは、サンワードさんのMDを考えると他社でも作っているアイテムなので、ファッション性とZOZOらしさを出すために合皮を使い、綿を入れて光沢感と高級感を出しました。学習教材はキルティング系のナップサックが多いので、そこを取り入れてもらい、高見えするアイテムに仕上がりました。
川中:バンダナや帽子をラインナップに加えた意図は何でしょうか。
八木橋さん:Tシャツやアウターだけでなく雑貨も用意した方が手に取ってもらいやすいと考えたからです。ただ普通に売るのでは面白くないので、ハットも紐が垂れる遊び心を加えたり、バンダナも目立つカラーリングにするなど意識して作りました。
話題を呼んだプロモーションと制作の裏側

川中:Xでも話題になっていましたが、プロモーション周りでのこだわりはありましたか。
八木橋さん:着用モデルにネットカルチャーと親和性の高いスタンミじゃぱんさんを起用し、渋谷周辺でルック撮影を行ったことが大きな反響を呼び、Xでも話題になったのだと思います。
川中:実際の撮影現場では、どのような様子でしたか。
八木橋さん:とても相性が良かったと感じています。撮影の時も非常に柔軟に動いてくれたので大変ありがたかったです。
発売後の反響と、3社が描く『家庭科のドラゴン』の未来

川中:発売後の反響はいかがでしたか。
八木橋さん:お客様の元に届いてから非常に多くの嬉しい声をいただいており、特にスカジャンは100着限定だったので喜んでいる投稿が多かった印象です。
宮川さん:TシャツもYouTuberの方やアイドルの方が衣装として着ているのを見かけました。キャラクターグッズの枠を超え、さまざまな方のファッションに自然に取り入れていただけたことが印象に残っています。
川中:社内での反響はありましたか。
八木橋さん:社内でもアパレル目線で面白いと評価が高く、社外の代理店や取引先からも「こういうことができるんだ」と次に繋がる声をかけてもらいました。
川中:最後に、今回のコラボを振り返っての思いと、ファンや購入者の皆様へのメッセージをお願いします。
八木橋さん:25周年を迎えた家庭科のドラゴンの魅力を多くの方に届けることができ大変嬉しく思います。ご購入いただいた皆様、応援してくださった皆様に感謝しております。これからもファッションを通じて「こんなコラボが見たかった」と思っていただける企画をお届けしていきたいので、今後のZOZOTOWNにご期待ください。
宮川さん:今回ZOZOTOWNさんの企画に作り手として、最初の建付けやMDの段階から参加できたのは非常にありがたかったです。サンワード社の本格的なアパレルとしての企画は初めてだったので、「家庭科のドラゴンだから着る」だけでなく「単純にかっこいいから着る」という人が増えてくれればありがたいです。
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